羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 22
- 2023.07.23
- 羽根直樹先生のアドバイスコーナー
こんにちは。羽根直樹です。
対局をしていて、「失敗したとき」「負けたとき」がつらい時間と感じるかもしれませんが、そのような時は上達のチャンスと考えましょう。
上達するための課題に気付けたと考えれば、マイナスばかりではありません。
つらいと感じる時間を少なくして、囲碁をもっと楽しんでもらえたらと思います。
今回の解説は、例会での指導碁(6子局)です。
<1>
白1なら白も丁寧な打ち方です。
この手は白aのスベリを狙う手ですので、黒は2と拒否しながら攻めます。
白3から4までが基本形となります。
白1でbと高く打った場合は、白が中央へ向かおうとしていますので、黒cと攻めましょう。
今回は白1でdと仕掛けてみました。
<2>
この局面は、「白への攻め」と「黒△の補強」を考えたい状況です。
攻めるためには白を連絡させたくありません。
黒aのサガリも立派な手ですが、おすすめは黒1です。
黒1の方が中央への進出が楽になり、黒△に余裕があります。
白2と脱出すればそれから黒3が良く、白4に黒5、もしくはbなどと攻めましょう。
<3>
白1をどのように攻めるかは迷う場面ですが、「黒の強い石の方向に追い込む」「将来性のある広い方向に自分の石を持ってくる」というのが基本的な考え方となります。
中央に将来性がある場合は実戦のボウシも有力ですが、白△があることで中央を黒模様とするのが難しい状況です。
今回は、黒の強い石といえば左辺となり、将来性のある方向は右下から右辺ということになります。
このような判断をもとに、「黒2もしくはaで白を追い出して、黒4もしくはbで左辺に追いやりながら右側に黒石を持ってくる」というのが良い攻め方となります。
そして、攻めるときは先手を取ることを意識しておくことが大切ですので、黒10に先行することまでをイメージできると最高です。
<4>
実戦は白△を取りに行く打ち方を選択しました。
白△の重要度が今回の判断基準となりますが、この石は気にせずに黒1から3と攻めるのが良い攻め方でした。
白4に黒5という流れになりますが、隅が心配であれば黒5はaでも構いません。
白△の重要度は、この石で切断されている両側の黒が、どれぐらいの強度かによって決まります。
今回はどちらの黒もそれなりに強いと考えて、「この白石を助け出しても黒への狙いにつながらない→地としては大きな手ではないので白は助けてこない→それなら取る必要が無い」と判断出来ると良かったですね。
<5>
実戦は黒aと白△を取りに行きましたが、黒1が良い考え方です。
白2と進出することになりますが、黒3と手抜きをしてしまいましょう。
白4と白△を助けに来たら、黒5もしくはcと打ち込む展開を目指します。
白△を助け出されても、周囲の黒には心配事がありませんので、黒地が減っただけです。
どちらの地になるかわからない場所(右辺と右上)を黒地にしている方が効率が良いのです。
黒1はbやcも有力ですが、この場所が「黒の補強・白への攻め・黒地を増やす・白地を増やさせない」という一石四鳥の好点となります。
<6>
実戦の黒aは、ヨセとしては最大級ですが、もっと大事な場所がありました。
黒1と、右辺の黒石を逃げ出したかったですね。
白2と分断してきても周囲に不安な石はありませんので、黒3と先手で守ってから5と補強をすれば、厳しく攻められることはありません。
この石を逃げ出す判断材料としては、「白△を狙うことも出来そう」ということが一番です。
「助けた後に狙いがあれば重要な石」と考えますので、bに白石が無いこの状況では黒1が大きく、黒5には白bと連絡するぐらいとなります。
bに白石がある場合は黒1とは助けませんので、その違いを見分けられるようになっていきましょう。
<7>
「ヨセは二線」と言われますが、白1のツギや右辺白△のコスミが代表的な形です。
「白地を増やしながら黒地を減らす」という一石二鳥の手となります。
二線以外でも一石二鳥の手であれば大きいのですが、中央付近はどちらかの地にしか関係していないことが多く、一石二鳥の手を探すために二線を意識しておくことが重要です。
<8>
白1のあとは、黒aを先手で決めてから黒bのオサエや、cのハネが次の候補となります。
現時点で黒が15目ほどリードしており、この後もしっかりと勝ち切ることが出来ました。
弱い石を攻められる展開にはなっていませんので、6子局としては十分に良い内容と言えますが、石を捨てたのが物足りない場所がありました。
次の狙いがあるかどうかで石の価値は決まりますので、しっかりと状況を見極めて判断することが出来ると良いですね。
4子で打てる実力にはすぐになれると信じて、失敗をしながら突き進んでいきましょう。
以上
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