羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 19
- 2023.04.03
- 羽根直樹先生のアドバイスコーナー
こんにちは。羽根直樹です。
囲碁の勉強法として、「部分的な基本の形」を覚えることは有効ですが、「その手の意味や考え方」も一緒に覚えてしまいましょう。
覚えた手を実戦で使うには、「周囲の状況に適しているのか」を確認する必要がありますが、その時に役立ちます。
今回の解説は、定先の対局です。
<1>
いきなり黒1と三々に入るのは、白2から厚みを作られて得をしないというのが以前の考え方でした。
今では、黒9で先手を取り、黒11から13などで「白もそれほどの厚みとは言えない」という考え方になりました。
黒9でaのハネツギを決めてしまうと、強力な厚みになってしまいますので注意が必要です。
黒13の後は、黒bが狙いです。
<2>
白1で先手を取って白3へ先行するのは、プロの対局でも一番多く打たれている考え方です。
布石で大切なのは、打ちたくてその手を選んでいるかどうかです。「みんなが打っているから」という理由で打ち進めると、すぐに何をして良いのか分からなくなるのが普通です。
それも覚悟でいろいろと試しながら、自分なりの布石を探していきましょう。
<3>
白1はとても良い一手です。
黒地を削減しながら、黒△・右辺の黒・白aのキリを狙っています。
黒はどこを重点的に補強するかですが、実戦は右辺の強化を優先しました。
右辺は黒bと打てば眼形豊かと感じれば、黒2から4が部分的には良い受け方です。
<4>
よほどのことが無い限り、黒1とノビたい形でした。
白2は黒3・白4・黒aのあと、どちらから打っても本コウという形になります。黒も戦える進行でした。
このコウが心配であれば、黒3キリでaと打っても実戦より勝ります。
白2でどうするかは悩ましく、bのケイマぐらいになっていたかもしれません。
実戦は、白がゆとりをもって左辺へと進出することが出来ました。
<5>
実戦のように白1・3と追い出して攻めるのが、方向の良い攻め方です。
白1でaと封鎖するのも好形に見えるかもしれませんが、失敗となります。
理由としては、「黒を生かしてしまう」「周囲の白は強いので連絡する価値が低い」「黒△があり、厚みを作っても働かない」などとなります。
黒4までの打ち方は、定石のようなつもりで覚えてしまっても良い進行です。
<6>
黒△に対し、白aとすぐに仕掛けました。
黒の弱点ですので良い狙いですが、競り合いが得意でない方は、左辺の白の強弱をどう感じるかによって打つ手を変えると良い局面です。
左辺の白が不安定であれば、競り合いを続けることを第一に考える必要がありますので、白aを決行しましょう。
もし左辺の白に不安がないのであれば、手抜きを考えるタイミングと言えますので、白1や7などへ向かうことになります。
参考図は手堅い進行ですが、白7でbと頑張ることも可能です。
守ってくれるなら良しと考えて、白aは楽しみに取っておく作戦となります。
<7>
黒1から5と脱出するよりありませんでした。
白4で5のノビも急所で、その場合は黒a、白bという進行になります。
実戦は何か錯覚があったのかもしれませんが、封鎖をされてしまい危険です。
<8>
白1まで、白の中押し勝ちとなりました。
左上の黒さえ脱出していれば、少し苦しい流れではありますが長期戦です。
この碁は左辺の白△を許したことで、大きく流れが傾きました。
左下方面は白を攻めているという強い気持ちで打ちたかったですね。
お互いにとても形の良い打ち方が多く、さすがの安定感でした。
ここまでレベルが高いと、AIを参考にしないと判断出来ないことも出てきますね。
詳しい解説は、棋譜のダウンロードをすると見ることが出来ますので、そちらもご覧いただけたらと思います。
以上
→棋譜のダウンロードはこちら
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