羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 15
- 2022.12.17
- 羽根直樹先生のアドバイスコーナー
こんにちは。羽根直樹です。
今年の翔の会は、例会や泰正会との交流戦など以前と同じような活動を行い、充実した時間となりました。
参加していただいた皆様、ありがとうございました。
そしてホームページを見て関心を持っていただいた皆様にも、お会いできる日を楽しみにしております。
今回の解説は、定先の対局です。
<1>
黒1・白2と、お互いにとても良い形です。
特に黒1は、「黒の眼形を増やす」「白の眼形を減らす」「黒地を増やす」「白地を減らす」「先手」と、すべての要素を兼ねていますので、最大の急場です。
<2>
実戦の黒は、「地が減らないように」という対応でしたが、現在は黒△が孤立しそうな状況です。
黒1から3と隅を白に譲っても、黒△を安定させることが出来れば満足と考えると良いですね。
不安定な石が無くなれば、黒9と大場に先行することが出来ます。
<3>
黒1は7・白4は9の場所へコウ取り
コウを解消するのは基本的に良い手の場合が多いですが、今回は黒3と受けていたかったですね。
実は今回のコウは、一手ヨセコウと呼ばれる形です。
黒5などと普通の手を打った後でも、まだ白6以下コウが続きます。
その後黒9と解消したとしても、黒5が打てている分がプラスとなります。
一手ヨセコウで解消するよりも、本コウになってから解消する方がお得ですので、少しだけ頑張ってみましょう。
<4>
部分的には黒1が成立していますが、上辺の黒が弱いので複雑な状況です。
白は2から4という抵抗が有り、黒5でシチョウですが白6が狙いです。
aとbが見合いになっており、白aで上辺に生きが無いとすると黒が危険です。
白2で3と切って黒△を取るぐらいでは不満ですので、注意が必要です。
<5>
白1と距離をとってツメるのが良いですね。
黒2と受けてくれるのなら、白はaとくっついているよりプラスです。
黒2はaかもしれませんが、白bと一手かけるのが立派な形となります。
<6>
白1は急所の一撃です。
黒4と安全に脱出しましたので、白9から11が見事な手筋ですね。
白1を、上手く捨て石にすることが出来ました。
この一連の流れで、正しい手筋をイメージ出来ていることが伝わります。
<7>
実戦は白の成功となりましたが、黒1と右下への進出を止める手が有力でした。
aとbが見合いで白は連絡することが出来ません。白2から8までとなった後、黒はcかdを選択することになります。コウかセキになることが想定出来ますが、上辺から中央にかけての白も眼形が不安ですので、とても難解です。
黒cと打った後は手数が長く書き切れませんので、詳しく知りたい方は棋譜のダウンロードをしてご確認下さい。
<8>
下辺が白地となり、白の勝ちとなりました。
センス良く攻める白と、堅実に打ち進める黒という一局でした。
センスの良さは打ち過ぎと紙一重ですので失敗してしまう事もありますが、恐れず貫いてもらえればと思います。
ただ白としても最後は少し不安なことになりましたので、黒△にこだわらず白1から3と全体を攻めれば、黒に生きるスペースはありませんでした。
黒としては「一手ヨセコウ」の判断が響きましたが、これは毎局違うのでとても難しいです。
一般的には「本コウ」になるまで少し頑張ってみる、ということが多いので試してみて下さい。
とてもレベルの高い攻防を見ることの出来た好局でした。
以上
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