羽根 直樹 先生のアドバイスコーナー11

こんにちは。羽根直樹です。

入段4年目の彩夏が20歳となりました。

20年前というと、初の7大タイトル獲得(天元)と同じ時期ですが、時の流れを感じます。

今回の解説も、例会での一局を取り上げます。

 

<1>

白1は、白△と連絡をしながら治まりを目指す手となりますので、
白3としっかり補強することが大切です。
断点を守る黒4に対しては、Aのキリを防ぐ白5や、Bのハネが考えられます。
3子局という意識が強くて打ち過ぎてしまったのかもしれませんが、あせらず打ち進めましょう。

<2>

14は13の右
黒はいろいろな対応が考えられましたが、黒1から3が分かりやすい打ち方でした。
白を分断しながら、AとBを見合いにしています。
Cの場所へ打つ手を省くことが出来ると、黒が効率の良い形となりそうです。

<3>

黒△の補強のために実戦は右下と連絡しましたが、右下の黒は強い状況です。
強い石と連絡するのでは無く、不安定な右上との連絡を目指すのが良い考え方です。
黒1から3が、不安定な石同士が連絡するという一石二鳥の手となります。
高段者になりますと、「不安定だと感じないので黒Aと反撃しよう」という考え方が正解となります。

<4>

左辺が最後に残っていた大場ですので、黒1はとても良い手です。
白としても、下辺を最後に連絡した△で手抜きをしたい局面でした。
下辺の競り合いをしながら、「左辺の大場が残っているな」という感じで気にしておけると良いですね 。
その意識があると、チャンスを見つけて手抜きをするという判断につながります。

<5>

良いタイミングでの手抜きです。
黒地を減らしながら、黒への攻めにもなりますので、白1はとても大きな一手でした。
黒としても、△の一手が急ぐ場所ではありませんでしたので、黒Aなどと手抜きをしたかったですね。

<6>

黒1から3はとても良い打ち方でしたが、黒5はダメヅマリになる危険な手でした。
黒三子を取られてしまったので、少し焦りが出たのかもしれません。
そして黒Aと中央の白へ迫ったのが実戦ですが、黒5を打たずに黒7から9などと左上を狙って作戦を立てたかったですね。

<7>

黒Aのカケツギが黒1であれば、黒3で取れていました。守り方の少しの違いだけですが、競り合いの時には少しのミスが致命傷になることがあります。左辺Bの断点に関しても、黒△でダメヅマリになった事で狙われています。「複数の断点があってダメヅマリ」というのは一番危険な状況ですので、慎重に確認して対応していきましょう。

<8>

中央の切断に成功して、一歩抜け出した白の勝ちとなりました。
白1もAを防ぐために必要な手で、丁寧な読みが出来ていますね。
お互いに平均点の高い手を打つ力があると感じる一局でした。
鋭い狙いが魅力的な白の打ち方ですが、所々で打ち過ぎなどの手拍子が出てしまっていますので、深呼吸をしながら落ち着いて打ち進めると安定感が増すと思います。
黒は級位者との申告ですが、競り合いでの大きな失敗が減ればすぐに初段です。
ダメヅマリには気を付けながら、「守りが必要ない時は手を抜き、危険が迫っていたら慎重に守る」というバランスを意識しましょう。

→棋譜のダウンロードはこちら
アドバイス11棋譜解説