羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 33

こんにちは。羽根直樹です。

上野愛咲美さんが、女流の世界戦(呉清源杯)で優勝しました。
中国選手を相手に決勝3番勝負を2勝1敗で制し、一力さん(9月に応氏杯優勝)に続いての快挙となります。

日本としては、この勢いを来年に繋げていきたいところです。
今回の解説は、会員同士の例会対局(4子局)です。

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黒1に対し、白2は好点です。

右辺に厳しい狙いがあるかは微妙な状況ですので、黒1では2なども有力でした。

白2で右辺が心配な場合は、白aの受けも立派な一手です。

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白1は上手い侵入の仕方です。

黒2・白3の後は3通りの打ち方が有り、実戦のオシ、4のサガリ、aのツギ、全て有力です。

黒△との幅がもう少し狭い時は、黒4のサガリが一番良い手となりますので、状況に影響されないのは黒4から7という形です。

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緊迫した競り合いになっていますが、黒△という援軍を頼りに黒もうまく打ち進めてきました。

勢いで打ちたくなる白△に対して、黒1から3という手順が良かったですね。

白4には黒5の切りが厳しく、白の対応が難しい状況でした。

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黒をダメヅマリに導きながら白1を利かし、白3と急所に守りました。

ただ、まだ不安を抱えている状況です。

そして黒2と守る前に、フリカワリを目指して仕掛ける手もありました。

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黒1はヨセとして最大です。

黒△があるので大きな差にはなりませんが、白2には黒3と下をハネる習慣になると良いですね。

2目の頭をハネられた場合、上下ともハネられるとダメヅマリになりやすいので、注意が必要です。

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白1に黒aはヨセとして大きな手ですが、白△以降は黒2の狙いが残っていました。

bと4が見合いで黒2の石を取ることは出来ず、黒6まで一部を捨てることになります。

実戦は白が補強に先着しましたので、事件は起こりませんでした。

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全ての石が無事に治まり、地合の有利な白が中押し勝ちとなりました。

「互先なら心配」という白のミスは読みに関してだけですので、中央の白は筋悪く白1・3を決めてから白5が正解でした。

黒6以降が先手で決まり、黒は地で得をしながらヨセ勝負です。

中盤以降の黒は良い流れで打てていますので、序盤次第という感じでした。

序盤については、「置き碁では白地が増えることを怖がらない」「隅と同じくらい辺も大切」という意識で打たれると良いかと思います。

以上

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アドバイス33棋譜詳細解説