羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 29

こんにちは。羽根直樹です。

第1回日本女子囲碁リーグが、7月に開幕することになりました。
5チームにて行われ、一年間かけて優勝が決まります。
新しい試みですので、どのような内容・結果になるのか、とても興味深いところです。

今回の解説は、例会での指導碁(4子局)です。

<1>

白1の侵入に対しては、黒2と反発したかったですね。
白3以降は一例ですが、攻めながら「どのような得を目指すか」「どのタイミングで手抜きをしようか」などを考えます。
白11ぐらいのタイミングで手抜きをして、黒12と上辺へ打ち込むことが出来れば、理想的な進行です。
黒2と反発することで、白に手抜きをする余地を与えないのが良い対応となります。

<2>

白1と生きた後は、手抜きのタイミングです。
左上に出来た厚みを活かす為にも、黒2の打ち込みが好手でした。
打ち込む場所で黒aとの比較は難しいですが、「攻めたい石の方に寄せる」「捨てられそうな石からは離れる」という基準になります。
今回は白△を攻めたいのですが、捨てられそうかどうかが焦点となります。
捨てられると感じる場合は、黒aと打ち込みましょう。

<3>

黒1が厳しい攻めでした。
この黒石は取られないという読みはさすがです。
白は生きを目指しましたが、二眼は出来そうもないですね。
黒△からの攻めが的確で、白は対応に四苦八苦している状況です。

<4>

上辺と中央の二つが白の弱い石です。
黒1と「とりあえず分断する」、白2に黒3と「弱い石同士を引き付けてから分断する」というのが良い攻め方です。
上辺を白4・6と補強した時に黒7と攻めれば、中央の白は危険な状況です。
白4や6で7と手抜きをすれば、黒aからbの手筋で取ってしまいましょう。

<5>

実戦は、黒1から3と白△を分断しました。
弱い石を分断することには価値があるのですが、捨てられてしまうと話は別です。
白△は利かした石(黒に受けてもらった石)ですので、捨てても良いと思っている石でした。
白10までを先手で利かしてから白12となった進行は、黒の失敗となりました。

<6>

(1の左に黒石有り)
白1・3が黒地と白地の接点となる二線で、大きなヨセとなります。
黒のリードは少なくなっており、この対局は白の勝ちとなりました。
手厚く堅実な打ち方で、本局は厳しさも出ていました。
白△への考え方が大きな差となった一局です。

相手が捨てたい石の見極めとともに、受ける前に反発することで捨てさせないようにすることも大切です。
白の打ち過ぎをとがめつつあっただけに、もったいなかったですが、上辺への攻め方は見事でした。

以上

 

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